オールアバウト、東京都健康長寿医療センターと認知機能低下者を
対象とした“ものづくり介入プログラム”による心理・認知機能への
介入効果を日本応用老年学会にて発表
~参加者の満足感を得ながら実行機能の向上と失敗に対する不安感の低減に寄与することが示唆~

2021年12月23日
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株式会社オールアバウト

 

株式会社オールアバウト(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:江幡 哲也、以下「オールアバウト」)と、地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(所在地:東京都板橋区、理事長:鳥羽 研二、以下「健康長寿医療センター」)は、認知機能低下者に対応した“ものづくり介入プログラム”を試作・試行し、本人の心理・認知機能への介入効果を検討することを目的とした共同研究結果を、11月6日・7日に開催された「第16回日本応用老年学会」にて、発表したことをお知らせいたします。

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■共同研究の背景・目的
政府が令和元年に取りまとめた「認知症施策推進大綱」では、認知症の発症を遅らせ、認知症になっても希望をもって日常生活を過ごせる社会を目指しており、認知症の人や家族の視点を重視しながら「共生」と「予防」、両方の施策を推進することが求められています。

そういった中、ハンドメイド講座の開発や講師を組織化し、生涯学習事業を展開する株式会社オールアバウトライフワークス(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:菱倉 英一、以下「ライフワークス」)をグループ会社に持つ、株式会社オールアバウトと協働して、認知機能低下者に対応した“ものづくり介入プログラム”を試作・試行し、本人の心理・認知機能への介入効果を検討するため、本研究に取り組みました。なお、本研究は、経済産業省の補助事業「令和2年度認知症共生社会に向けた製品・サービスの効果検証事業(令和3年9月完了)」により実施しており、本格実証の前の探索的研究の位置づけです。

■研究概要
認知機能が軽度に低下した方を対象に研究参加者を募り、同意が得られた方を対象にプログラムを提供しました。プログラムの開始前と終了後に精神的健康度(一般性セルフ・エフィカシー尺度(GSES)等)と認知機能検査(MoCA-J等)に関する調査を行いました(n数=19)。また、プログラムに関するインタビューも行いました。

■ライフワークスの講師によって開発した”ものづくり介入プログラム”

写真左から「オーナメント」「マスク入れ」「ペットボトル入れ」「フォトフレーム」「ハンギングバスケット」
写真左から「オーナメント」「マスク入れ」「ペットボトル入れ」「フォトフレーム」「ハンギングバスケット」

■“ものづくり介入プログラム”の様子

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■研究結果

・心理尺度では、趣味講座の実施後にGSESにおける失敗不安の得点が向上していた
∟インタビューの中で、『できないところは教えてくれる』、『できないところは手伝ってくれて良かった』といった発言がみられることから、自分が失敗しても必ずしも迷惑をかけるわけではないということを経験することが失敗不安の低減に寄与した可能性がある
∟趣味講座を通した失敗不安の解消によって日常生活における能動性の向上が期待される

・自尊感情および精神的健康には変化がみられず、ものづくりに関する先行研究とは異なる結果となった
∟研究期間がおよそ1か月であり、包括的な心理機能への好影響には短かった可能性がある

・インタビュー結果から、本プログラムの満足度は高く、今後の継続意欲も高かった
・そのほか、比較的認知機能の変化に敏感な検査であるMoCA-Jにおいて得点向上の傾向がみられた

■東京都健康長寿医療センター研究所 鈴木 宏幸氏 コメント

本プログラムでは参加者の満足感を得ながら失敗に対する不安感の低減に寄与することが示唆されました。
日常の中で何かに没頭する時間が生まれることは、本人の幸福感や同居家族の介護負担軽減に寄与する可能性もあります。比較対象群の無い試行段階の研究ではあるものの、本プログラムは認知症の共生と予防の両面を満たす介入方法となる可能性があると言えるでしょう。

 

■株式会社オールアバウトライフワークス 代表取締役社長 菱倉 英一氏 コメント

認知機能低下者の方の受講後のインタビューにおいて「丁寧に教えてくれた。できないところは手伝ってくれてよかった」、「できないところは教えてくれる」という声を聞くことができました。わたしたちは知的活動を通してご本人・ご家族の生活の質(QOL)の向上と認知機能低下を抑制する事業を開発しています。ものづくりのような知的活動を継続していくためには、当事者の自尊心を支えるための周囲からの支援が不可欠です。その点において当社が開発した専門講師育成プログラムを通して育成された講師組織、および専用に作りこまれた教材が重要であることも、今回の研究を通じて分かりました。当社はこの研究で得られた知見に対してさらなる実証を重ねて、企業や団体との連携強化を図り、2023年に社会実装を目指します。我々の取り組みに興味をお持ちいただきましたら、是非お声掛けください。

 
 
■本研究結果との連携をご希望される自治体・事業者の方々からのお問い合わせ先
E-mail:wellness@gakusyu-f.jp
 

【地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター概要】
■所在地  : 東京都板橋区栄町35番2号
■理事長名 : 鳥羽 研二
■設立年月日: 平成21年4月1日
■事業内容 : 病院部門・研究所部門
■URL   : https://www.tmghig.jp/

【株式会社オールアバウト 会社概要】 
■所在地  : 東京都渋谷区恵比寿南1-15-1 A-PLACE恵比寿南3F
■代表者名 : 江幡 哲也
■設立年月日: 1993年3月25日
■事業内容 : 専門ガイドによる総合情報サイトの運営、インターネット広告事業、ECサイトの運営、
生涯学習事業
■資本金  : 12.85億円(2021年9月末現在)
■URL  : https://corp.allabout.co.jp/

 
 
本件に関する報道機関からのお問い合わせ先:
株式会社オールアバウト 広報担当:柏原
TEL:03-6362-1309 
E-mail: pr@staff.allabout.co.jp